あなたの「得意」はどこに?:日常と仕事の経験から「天職のヒント」を見つける3つの視点
「今の仕事に、漠然とした不安を感じている」「本当にやりたいことが何なのか、自分でもよく分からない」と感じる方は少なくないでしょう。特に、日々の業務に追われる中で、自身のキャリアや将来について深く考える時間を確保することは難しいものです。しかし、天職へのヒントは、意外にもあなたの「これまでの経験」や「日常」の中に隠されている可能性があります。
今回は、自身の「得意なこと」や「情熱を感じること」を再発見し、天職を見つけるための一歩とするための3つの視点をご紹介いたします。
1. 仕事における「小さな成功体験」を振り返る
日々の業務の中で、あなたはどのような瞬間に達成感や充実感を覚えるでしょうか。一見、些細なことと感じられるかもしれません。しかし、そこにこそ、あなたの潜在的な強みや、やりがいを感じるポイントが隠されています。
具体的には、以下の問いについて深く考えてみてください。
- どのような時に「困難を乗り越えた」と感じ、達成感を得ましたか?
- 例: 複雑な顧客の要望を整理し、システム開発部門との橋渡しを円滑に行えた時。
- 例: 営業目標を達成した時だけでなく、その達成プロセスでどのような工夫や努力をしたか。
- どのような業務であれば、多少の困難があっても苦にならず、むしろ集中して取り組むことができましたか?
- 例: データ分析を通じて顧客の課題を特定し、提案書を作成するプロセス。
- 例: 新しいITツールを導入する際に、その機能やメリットを社内メンバーに分かりやすく説明する作業。
- 同僚や上司、あるいは顧客から「ありがとう」「助かったよ」と感謝された業務はどのようなものでしたか?
- 例: チーム内の情報共有の仕組みを改善し、業務効率が向上した時。
- 例: 顧客からのクレームに対して、冷静かつ迅速に対応し、信頼を回復できた時。
これらの経験は、あなたが意識していなかった「得意なこと」や「自然と力を発揮できる領域」を示唆しています。これらを具体的に書き出し、共通点を見つけることで、自身の仕事における価値観や強みを明確にできます。
2. プライベートにおける「情熱や没頭体験」を掘り下げる
仕事から離れたプライベートの時間にも、あなたの「得意」や「情熱」のヒントは隠されています。趣味や日常の行動の中に、仕事では発揮しきれていない才能や興味の源泉があるかもしれません。
以下の問いについて考えてみましょう。
- 時間を忘れて没頭できる趣味や活動は何ですか?その活動のどのような点に魅力を感じますか?
- 例: プログラミング学習に熱中し、新しいサービスを個人的に開発している。
- 例: 特定の分野(歴史、音楽、科学など)について、際限なく情報収集をしてしまう。
- 例: ボランティア活動や地域コミュニティの運営に積極的に関わっている。
- 仕事とは関係なく、自然と情報収集をしてしまう分野や、人から「詳しいね」と言われることは何ですか?
- 例: 最新のテクノロジー動向やガジェットに関する情報。
- 例: 投資や資産運用に関する知識。
- 例: 特定のスポーツや芸術に関する深い知見。
- 何かを学ぶ際に、特に楽しさや喜びを感じるのはどのような時ですか?
- 例: 未知の概念を体系的に理解できた時。
- 例: 実践を通じてスキルが向上していく過程。
- 例: 人に教えることで、自身の理解が深まる時。
プライベートで発揮される情熱や得意なことは、往々にして「苦労を苦労と感じさせない」ものです。これらの要素を仕事と結びつけることで、より大きなやりがいや満足感を得られる可能性があります。
3. 「他者からのフィードバック」に耳を傾ける
自分では当たり前だと思っていることが、実は他者から見れば優れた能力である、というケースは少なくありません。客観的な視点から自身の強みを知ることは、自己理解を深める上で非常に有効です。
周囲の人の言葉に意識的に耳を傾けてみましょう。
- 上司、同僚、顧客などから、「○○が得意だね」「○○について頼りになる」と言われることは何ですか?
- 例: 「君の説明はいつも分かりやすいね」と言われる(→複雑な情報を整理し、伝える能力)。
- 例: 「困った時はいつも○○さんに相談しているよ」と言われる(→問題解決能力、傾聴力)。
- 例: 「いつも新しい情報を持っているね」と言われる(→情報収集力、探求心)。
- あなたが当たり前のように行っていることで、他者が苦手としている、あるいは時間や手間取っていることは何ですか?
- 例: 議事録の作成や資料整理が手早い。
- 例: 人間関係の調整や、チーム内の雰囲気を和ませるのが得意。
- 例: 未知のITシステムでもすぐに使いこなせる。
- もしあなたが友人や同僚に「あなたの強みは何だと思う?」と尋ねるとしたら、彼らは何と答えると思いますか?
- 実際に尋ねてみることも、非常に有効なアプローチです。
他者からのフィードバックは、あなたの無意識の強みや、客観的に評価されている能力を浮き彫りにします。これらは、あなたがどのような役割や環境で価値を発揮できるかの重要な手がかりとなります。
「気づき」を「次の一歩」へ繋げるために
これらの3つの視点を通じて見出した「得意なこと」や「情熱」は、天職を見つける上での貴重な羅針盤となります。もし複数の要素が見つかった場合は、それらの共通点や組み合わせることで生まれる新たな可能性についても考えてみてください。
重要なのは、これらの気づきを単なる思考で終わらせず、具体的な行動へ繋げることです。例えば、「人前で話すことが得意」だと気づいたなら、社内でのプレゼンテーションに積極的に立候補してみる、あるいは外部の勉強会で登壇する機会を探してみるなど、小さな一歩から試してみることで、新たな道が開かれるかもしれません。
天職への道のりは、決して一直線ではありません。自身の内面と向き合い、経験を振り返り、時には他者の声に耳を傾ける。そして、得られた気づきを元に、一歩ずつ行動を起こしていくことが、あなたの「本当にやりたいこと」へと繋がる鍵となるでしょう。